小型船舶操縦士免許の区分、及び船舶検査証書の記載内容で航行出来る範囲について(隠岐の島町)

ヨコタオート&マリンです。
 
少し前のブログにて2級小型船舶操縦士免許の新規講習及び1級への進級講習について投稿させて頂きましたが、小型船舶で航行できる範囲について内容に一部誤りがありました。誠に申し訳ございませんでした。


こちらの以前のブログ内容は既に訂正させて頂きましたが・・・

国土交通省、海上保安署、小型船舶検査機構にてそれぞれの内容を確認したところ回答を頂きましたので改めて隠岐の島町付近の海域で小型船舶が航行できる区域について内容を追加し再度投稿をさせて頂きます。
 
 
 
まず、小型船舶にて航行が可能な区域ですが
小型船舶操縦士免許の区分(1級or2級)
②使用される船舶の航行区域(限定○○海里以内など)
の双方にて制限をされます。
以下、これらの内容につき幾つか例を上げながら説明をさせて頂きます。
 
 
 
 
小型船舶操縦士免許の区分(1級or2級)
 
※2級小型船舶操縦士免許にて航行出来る範囲について
 北海道、本州、四国、九州とそれらに附属する島で、その海岸が沿海区域に接するものの各海岸から5海里以内の水域、及び平水区域となります。
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よって隠岐列島の地図上では色付きの範囲となりそれぞれ島前、島後の各海岸から5海里(約9.25km)となります。また島前・島後間の隠岐海峡は最短部でも約6海里ありますがそれぞれの5海里エリアが重複しますので、2級小型船舶操縦士免許でも島前と島後間の航行は可能となります。但し沖合いへは5海里に限定されますので色付きエリア外へ行く事は出来ません。

 

ちなみに船舶関連の罰則は厳しいと言われますが・・・・

船舶関連の罰則シリーズ ケース①

船舶は10海里内限定船舶だったが、2級免許で5海里外のエリアに出てしまった場合

船舶職員法及び小型船舶操縦者法:

その船舶に必要とする操縦免許証を受有しないで当該船舶に小型船舶操縦者として乗船した場合

となり・・・・・

罰則 30万円以下の罰金

を課せられる場合があります。

 

 

※1級小型船舶操縦士免許にて航行出来る範囲について

 2級が沿岸免許、1級は外洋免許とされ航行できる範囲に制限はないのですが、実際には使用される船舶の航行区域にて制限を受けます。つまり1級を所持していても航行区域が5海里限定の船舶であれば5海里の外へ出る事は出来ません。
 また80海里以上を航行する場合には船長以外に6級海技士以上の乗員を同船させるなどの義務もあります。
 よって実用的なところ隠岐の島付近で1級が必要になるのは、海岸から5海里を越えて沖合いに行きたい場合や本土へ船舶で航行する場合などになるかと思われます。
 
船舶関連の罰則シリーズ ケース②
操縦免許を自宅に忘れたまま操船してしまった場合
船舶職員法及び小型船舶操縦者法:
操縦免許を携行しないで小型船舶に小型船舶操縦者として乗船した場合
となり・・・
罰則 10万円以下の過料
を課せられる場合があります。

 

 

 

使用される船舶の航行区域

@小型船舶検査証書記載の航行区域による制限について

 ※以下の内容は島後(隠岐の島町)または島前(第31号平水)を母港に設定した場合の2時間限定沿海区域について説明をしております※

※可搬型小型船舶(トレーラブルボート)や水上オートバイ及び沿岸区域を申請した船舶とは内容が異なります※

 
まず始めに所有または使用される小型船舶の船舶検査証書より航行区域の欄を確認されて下さい。沿海区域と記載されているところに航行可能な区域の詳細があります。
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 ちなみにこの航行区域ですが2時間限定沿海の場合は・・・

小型船舶検査機構(JCI)の検査官が定期検査などの船舶検査時に、

船体、定員、搭載エンジン、燃料タンクなどの確認を行いその船舶の最強速力で2時間以内に往復できる沿岸区域の水域として設定されています。
 
 弊店がお客様より委任を受けて検査代行を行う際の小型船舶の大半は5海里、10海里、15海里、20海里になりますので以下に地図を添付してそれぞれの航行可能な区域を説明させて頂きます。
 
 

 <サンプル:限定沿海5海里(約9.25km)の場合>

 沿海区域

ただし、島根県隠岐列島島後の海岸から5海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1上第6項の水域に限る。

と記載されます。

この限定沿海5海里については・・・

・小型の船外機を搭載した船舶(※諸条件にて異なります)

・中~高馬力を搭載した船舶でも任意で信号紅炎の代替えに携帯電話登録を申請をした船舶

となります。

 <携帯電話による信号紅炎セットの代替えについて>

近年では規制緩和により携帯電話のサービスエリア内のみを航行する等の条件で法定安全備品である信号紅炎「発煙筒セット」を携帯電話にて代替申請が可能になりました。その際に海上での携帯電話の通話可能エリアは約5.4海里(10km)とされていることから航行区域を5海里(約9.25km)に限定されますので、そのような手続き(申請)をされた船舶は従来の航行区域から限定5海里以内に変更されます。

 

5海里内5ノット

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これを地図で表示すると隠岐の島町を母港とした海岸から5海里(約9.25km)の色の付いた範囲が航行可能となります。

よって、この船舶で航行した場合には小型船舶操縦士免許の区分が1級であれ2級であれ5海里を越えることが出来ませんので島後から島前へ行く事は出来ません。

 

 

 

また、携帯電話による信号紅炎セットの代替え申請した船舶でも最強速力が大きい小型船舶については沖合いに対しては携帯電話のエリア内である5海里に制限されますが島前島後間に関しては携帯電話のエリアが重複していますので航行可能範囲とみなされて

 沿海区域

ただし、島根県隠岐列島島前、島後の各海岸から5海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1上第6項の水域に限る。

と記載される場合があります。

5海里内10ノット

 

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これを地図で表示すると島前、島後の各海岸から5海里(約9.25km)の色の付いた範囲が航行可能エリアとなります。

よって、この船舶で航行した場合には小型船舶操縦士免許の区分が1級または2級でも島後から島前へ行く事は出来ますが、沖合いへは5海里に航行エリアを制限されます。

 

 

 

船舶関連の罰則シリーズ ケース③

これらの船舶で沖合いへ5海里を越えた海上で海上保安署に止められた場合

船舶安全法:

指定された航行区域を越えて船舶を航行させた場合

となり・・・

罰則 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金

を課せられる場合があります

 

 

 

 

<サンプル:限定沿海10海里(約18.5km)の場合>

  沿海区域

ただし、島根県隠岐列島島後の海岸から10海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1上第6項の水域に限る。

と記載されます。

この場合、 船舶としては問題なく島前~島後間の航行もできるのですが沖合いに出れる範囲については、小型船舶操縦士免許の区分が1級の場合と2級の場合では区域が異なってきます。

 

 <1級小型船舶操縦士免許を所有の場合>

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この場合、隠岐の島町を母港とし島前・島後の各海岸から10海里(約18.5km)の色の付いた範囲が航行可能となります。

免許による航行区域の制限は受けません。

  

 <2級小型船舶操縦士免許を所有の場合>

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この場合、隠岐の島町を母港とした海岸から5海里(約9.25km)の色の付いた範囲が航行可能となります。

船舶検査証書上での航行区域は10海里なので島前・島後間の往来は可能ですが免許上の制約で沖合いへは5海里しか行けませんので1級の場合よりも航行区域は狭くなります。

 

 

 

 

<サンプル:限定沿海15海里(約27.7km)の場合>

 ※母港設定を隠岐の島町にした場合※

  沿海区域

ただし、島根県隠岐列島島後の海岸から15海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1上第6項の水域に限る。

と記載されます。

 

 

次に

※母港設定を島前(第31号平水)した場合※

  沿海区域

ただし、鳥取県御崎港来た防波堤灯台から0度に引いた線と、島根県地蔵崎を経て、同県十六島鼻灯台から0度に引いた船の間における本州及び隠岐列島の各海岸から15海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1上第6項の水域に限る。

と記載されます。

   

 

 つまり、この船舶を使用して航行される場合は小型船舶操縦士免許の区分が1級の場合と2級の場合では区域が異なってくる他に、母港の設定を隠岐の島町にするか、島前(第31号平水)にするかでも航行できる範囲が異なります。

 

 <1級小型船舶操縦士免許を所有かつ母港設定が隠岐の島町の場合>

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この場合、隠岐の島町を母港とし島前・島後の各海岸から15海里(約27.7km)の色の付いた範囲が航行可能となります。

免許による航行区域の制限は受けませんが、母港を島前にするか隠岐の島町にするかで航行区域が本土まで含まれる・含まれないの違いが発生します。

 

 

 

 

 <1級小型船舶操縦士免許を所有かつ母港設定が島前(第31号平水)の場合>

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この場合、島前を母港とし島前・島後の各海岸から15海里(約27.7km)及び本土側の色の付いた範囲が航行可能となります。

※母港が島前(第31号平水)に設定されていますが、母港は書類に記載されません※

同じ限定15海里ですが母港を島前にする事で航行区域が本土まで広がりますので1級小型船舶操縦士免許を所有していれば本土への航海も可能です。

 

 

<2級小型船舶操縦士免許を所有の場合>

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この場合、島前または隠岐の島町を母港として島前、島後の各海岸から5海里(約9.25km)の色の付いた範囲が航行可能となります。

船舶検査証書上での航行区域は15海里なので島前・島後間の航行は可能ですが免許上の制約で沖合いへは5海里しか行けませんので1級の場合よりも航行区域は狭くなります。

 

 

 

 

<サンプル:限定沿海20海里(約37km)の場合>

限定20海里の場合も15海里の場合と同様に母港設定と免許区分で航行できる範囲が異なってきます。

 

※母港設定を隠岐の島町にした場合※

沿海区域

ただし、島根県隠岐列島島後の各海岸から20海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1上第6項の水域に限る。

と記載されます。

  

 

次に

※母港設定を島前(第31号平水)した場合※

 沿海区域

ただし、鳥取県天神川口右岸突端から0度に引いた線と、島根県地蔵崎を経て、同県大岬灯台から320度に引いた船の間における本州及び隠岐列島の各海岸から20海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1上第6項の水域に限る。

と記載されます。

 

 

 つまり、この船舶を使用して航行される場合は小型船舶操縦士免許の区分が1級の場合と2級の場合では区域が異なってくる他に、母港の設定を隠岐の島町にするか、島前(第31号平水)にするかでも航行できる範囲が異なります。

 

 

 <1級小型船舶操縦士免許を所有かつ母港設定が隠岐の島町の場合>

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この場合、隠岐の島町を母港とし島前・島後の各海岸から20海里(約37km)の色の付いた範囲が航行可能となります。

 免許による航行区域の制限は受けませんが、母港を島前にするか隠岐の島町にするかで航行区域が本土まで含まれる・含まれないの違いが発生します。

 

 

 <1級小型船舶操縦士免許を所有かつ母港設定が島前(第31号平水)の場合>

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この場合、島前を母港とし島前・島後の各海岸から20海里(約37km)及び本土側の色の付いた範囲が航行可能となります。

※母港が島前(第31号平水)に設定されていますが、母港は書類に記載されません※

 15海里の場合と同じ限定20海里ですが母港を島前(第31号平水)にする事で航行区域が本土まで広がりますので1級小型船舶操縦士免許を所有していれば本土への航海も可能です。

 

 

<2級小型船舶操縦士免許を所有の場合>

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この場合、島前または隠岐の島町を母港として島前、島後の各海岸から5海里(約9.25km)の色の付いた範囲が航行可能となります。

船舶検査証書上での航行区域は20海里なので島前・島後間の往来は可能ですが免許上の制約で沖合いへは5海里しか行けませんので1級の場合よりも航行区域は狭くなります。

 

 

 

 

 

 以上、大変長くなりましたが簡単にまとめてみますと・・・

隠岐列島付近での小型船舶の使用においては基本的には2級小型船舶操縦士免許があれば概ね十分と言う事になります。但し島前・島後間を小型船舶で往来するには航行区域が限定10海里内以上である事が必要です。

 

1級小型船舶操縦士免許については漁業従事者または趣味の釣りにおいてもで5海里を越えて深場の沖合いに出ることがある場合や、本土へも船舶で往来する事がある方などは必要と考えて下さい。

但し、1級小型船舶操縦士免許を所持していても船舶ごとに設定された航行区域を越えて航行する事は出来ませんので注意が必要です。

  

これらの内容について更に情報が必要な方、船舶免許の講習受講をご希望される方は書類の取得と合わせてお問い合わせまたは、ご来店下さい。

 

  

<1級小型船舶操縦士免許進級(ステップアップ)講習>

通常は隠岐では開催されませんが今回1級小型船舶操縦士免許を取得される団体様がおられる関係上、一緒に受講することが可能です。

日程は調整中で10月初旬~中旬の予定になりますので決まり次第に必要な書類等と合わせて投稿したいと思います。

費用は¥45,100になります(2級小型船舶操縦士免許所有者)。