4ストローク船外機のエンジンオイルについて
こんばんは、ヨコタオートです。
ブログの更新が久々になりまして申し訳ありません。
この時期ならではの経理的な仕事と冬の時期にしてはたくさんの仕事を頂きまして昼夜ともに奮闘しておりました。
さて今日から3月、いよいよ春も近づきボートシーズンも間近です。
当店でもシーズンインに向けての定期点検や船底清掃の依頼がぼちぼちと入る時期になりました。
そんな中、本日は4ストローク船外機のエンジンオイルについて少しお話しさせて頂きたいと思います。
1.エンジンオイルの役割
基本的には車やオートバイなどと同様になりますが、主な作用としては以下のとおり
●減摩作用
・・・エンジン内では金属部品が稼働しますので摺動箇所に油膜を作り摩擦抵抗を軽減し各部の摩耗を減らします
●冷却作用
・・・各部の摩擦熱や燃焼により発生する熱を吸収して放散させます
●密封作用
・・・シリンダーやピストンまわりに油膜を作り圧縮や爆発圧力を逃がし難くします
●洗浄作用
・・・カーボンなどの不純物をオイル内に含んで洗い流し堆積を軽減します
●防錆作用
・・・燃焼による酸性ガス酸化物や水分による錆(腐食)を防ぎます
●緩衝作用
・・・摩擦面の局部圧力を分散して油膜を保ちます
●防音作用
・・・摩擦音、機械ノイズなどの騒音を軽減します
これらはエンジンの正常な運転、正常な出力などを保つ為に重要な作用でありエンジンオイル自体が正常な状態である事が必須条件になります。
しかしながらエンジンを使用していく過程でオイルは汚れ劣化していきますし、例え使用しなくても酸化して傷みますので適切なオイルの管理が重要になります。
2.オイルの交換時期
各メーカーが取説などにも記載していますが、多くのメーカー&多くのモデルの推奨交換サイクルは6ケ月または100時間の早い方になります。
例1)3ケ月でも100時間到達すれば交換
例2)50時間しか使用していなくても6ケ月経過すれば交換
と言うことをメーカーは推奨しているのです。
やや早いのではないかと思われる方が多いかと思いますが船外機は車などと異なり前後進のギヤチェンジがあるだけで、1-2-3-4速といった変速ギヤはありません。
車の場合は車種により違いはありますが平坦な一般道路を巡航速度で走る限りには発進時や加速時には3000-5000回転になる事がありますがその後は変速していきエンジン回転は1500-2000回転に落ち着くと思います。
しかし船外機の場合ボートを滑走させて走るには(船やエンジンサイズで異なりますが)おおむね4000-6000回転が必要になってきます。つまり船外機のエンジンは常に高回転域での使用が続くのと、タイヤで転がる車と異なり船は水上を走るので抵抗が大きくエンジンへの負荷も比例して大きいものとなります。
業界での一つの目安として(これも船やエンジンサイズで異なりますが)船外機のエンジンの100時間使用はエンジンの負荷率で比較すると車の走行距離1万キロに匹敵するそうです。
車のエンジンオイル交換の目安は5000km程度が多いと思いますが、そうすると船外機の100時間というのは決して大げさでは無いと思いませんか?
3.船外機に使用するエンジンオイル
基本的にはオイルの粘度、グレードを取説にある範囲内のもので選んで頂くことが基本ですが、入手が困難な場合や緊急時を除き基本的には船外機用のオイルを使用して下さい。
一部を除き船外機はエンジンの冷却に海水(湖なら湖水)をくみ上げて循環させる水冷の直接冷却方式です。これは他のエンジン冷却方式と比較して大変効率が良く、つまり条件によってはエンジンが冷えすぎる場合があります。
例えば低速運転で前後進して瀬周りをスロージグで釣りをしたり、藻場周りを魚探を見ながらメバル釣りをしたりなど長時間に渡って低速運転をするとエンジンが十分に温まらずにブローバイガス内の水分が結露化してエンジンオイルに混ざったり、低温の為にピストンやシリンダーの隙間が十分に埋まらず気化したガソリンがクランク側へ逃げオイルに混ざるなどエンジンオイルが希釈されるケースが考えられます。
こういった場合にもオイルの性能劣化を最小限に抑えエンジンを保護する為に船外機用のエンジンオイルには特別な添加剤が使用されています。
(他にも色々書きたいことありますが・・・)
小難しい事を書きましたが、要は船外機メーカーが発売している純正オイルを使用すれば間違いがありません。
4.オイル交換に際して
自動車整備などの知識や工具類をお持ちの方ならオイル交換自体はそれほど難しくはありませんが・・・・・
●オイル交換時以外にも日頃より油量の点検を行ってください
●油量点検や交換時にオイルの量や色に異常があれば診断を行うか、ご相談ください
●オイルの油量は適正に。少ないのはもちろんNGですが、多すぎもNGです
●交換できるカートリッジ式オイルフィルターを備えたモデルはオイル交換2回につき1回の頻度で合わせて交換を行ってください
●ドレンプラグからオイルを下抜きする場合はドレンプラグのワッシャーガスケットは必ず交換してください
●オイルフィルター、ドレンプラグの取付けは適正な締め付けトルクで行ってください
以上、4ストローク船外機のエンジンオイル(交換)についてなるべく簡潔に書かせて頂きました。
これらの内容は同業界の諸先輩との話しの中でも良く話題になりますが、やはりユーザー様の多くは船外機のオイル交換についてやや安易に考えておられる場合が多い様です。
一般的なレジャー使用目的(※1)においては必要以上に良いオイルを使ったり、オイル交換の頻度を増やすことも無いかと思いますが、出来れば推奨される使用時間でのオイル交換を行って頂く(または業者に依頼して頂く)事が安全に長く船外機を使用して頂く一番のポイントであることは断言できると思います。
(※1)漁業、遊漁ガイド業などの業務仕様については更に良いオイルの使用や交換頻度を高めた方が良いかと思います
<参考までに>
以下は各社の純正4ストローク船外機用オイルの一部です。いずれも「MARINE ENGINE OIL」となっており水冷の船外機や水上バイク用となっています。
オイルの粘度的にはSAE10W-30、10W-40あたりの指定が多いです。
またメーカーによっては高馬力用にプレミアム的なオイルをラインナップしている場合もあります。
API規格のオイルグレードではSJ、SL以上のものが間違いありません。
スズキ純正4ストローク船外機用オイル(他サイズもあります)
マーキュリー純正4ストローク船外機用オイル(他サイズもあります)