AC デルコ ボイジャーバッテリーについて③(サイズ選びなど)
こんばんは、ヨコタオートです。
今回は不定期連載しております「ACデルコ:ボイジャーバッテリーについて」になりますが3種類あるラインナップからのサイズ選びなどについて書きたいと思います。
まず本日夕方の事ですが船外機のエンジンが始動できないとお客様より連絡を頂きました。状況を聞くと前回の日曜日にはエンジン始動でき出航していたが、その際にエンジンを停止してしばらくするとGPS魚探の電源が落ちて困ったとの事。
(大半のGPSや魚探はバッテリーが低電圧になると自動で電源が落ちます)
お客様もバッテリーを疑っており、早々にお持ち込み頂きました。
一般的なテスターで電圧を計るとDC12.40V。
これだけの数値で判断するとやや低いとはいえエンジン始動は出来そうな数値ですが、実はバッテリーの良否判断はこれだけでは出来きず・・・・・
近年ではバッテリーの測定にはCCAバッテリーテスターというものを使用します。
接続するとまずは電圧を表示(DC12.41V)。ここでは電圧の計測と充電状態を判断します。
次に幾つか操作をするとCCAが計測できます。CCAとはコールドクランキングアンペアの略で寒冷時にどれだけの放電ができるかという数値ですが、分かり易く言うとエンジン始動時の瞬間的にスターターモーターにどれだけの電流を供給できるかというバッテリーの瞬発力を表す数値です。
この数値がそのエンジンが求める数値を満たしていないとエンジンの始動は困難になります。
ちなみに今回のバッテリーは「130F51」というサイズでしたが、新品時には概ねCCA値700以上あるものが写真のように測定時には150しかありませんでした。
今回の船外機(モデル)が求めるCCA値は380ですからエンジン始動が出来ないのも無理はありません。むしろ、日曜日もよく始動できたなぁというぐらい低い数値です。
ちなみに今回の様なCCAバッテリーテスターが普及する前は写真のような比重計を使ってバッテリー液の比重を計測していましたが、キャップの無いメンテナンスフリータイプのバッテリーが多くなり比重計が使用できない場合が増えています。
参考までに今回のバッテリーを計測しましたが比重はレッドゾーンでNGでした。
(正常なものであればグリーンの位置に液面がきます)
結果、恐らく充電をしても正常な数値までは回復できないと判断しましてバッテリー交換にて対応をさせて頂きました。
サイズ:M27MF にて納めております。
今回の船外機はヤマハですが、4ストロークと2ストロークの馬力帯に応じたそれぞれ必要な最小バッテリーのサイズが上記のとおりです(他社船外機でも求める性能は大きくは変わらないと思います)。
基本的には上記スペック以上の性能を持つバッテリーでボート側に積載のスペースがありバランスなどを崩さないものであれば、それ以上に大きなものでも構いません。
また2ストローク船外機に比べて4ストローク船外機の方が求める数値が高いですが、これは2ストロークと比較して
・シリンダーの圧縮が高いこと
・カムシャフト、バルブなど駆動させる部品(機構)が多いこと
・エンジンオイルの影響
などがある他に
近年のエンジンは燃料供給がEFI(燃料噴射式)になる事で制御関連に従来より電力を消費したり、スパークプラグの点火にバッテリーを使用するモデルなどもありエンジンの運転にとってバッテリーの状態は非常に重要なファクターになっています。
本日バッテリーを交換した船外機ですが、
電動スターター/ PTT(パワートリム&チルト)/ EFI仕様(燃料噴射式)と電力を消費する機構が多いモデルでした。
上記表内の必要スペックでは、
容量:70Ah以上
CCA:380以上でしたが
ボイジャーバッテリー:M27MFは、
容量:100Ahクラス
CCA:550
になります。
実はディープサイクルタイプのボイジャーバッテリーは「クランキングバッテリーやスターティングバッテリー」と呼ばれる一般的な同サイズの始動用バッテリーと比較するとややCCA値が低いのとサイズが3種類しかないので、船外機の馬力帯によってはやや大きめのサイズ選択になる場合がありますがボートに積載できるのであれば、やや大きい方がかえって安心です。
そこで私の個人的な見解ですがお勧めしているボイジャーバッテリーのサイズ分けは以下の通りになります。
4ストローク船外機について
:~25hp(ヤマハ )/30hp(その他)以下 =ボイジャーM24MF
:30hp(ヤマハ)/40hp(その他)~115hp =ボイジャーM27MF
:150hp~200hp(4気筒モデル) =ボイジャーM31MF
:V6モデルなどはクランキング専用バッテリーの使用が良いと思います。
※これらの推奨サイズはエンジン以外にもボート内の電力消費をする機器の種類などにも左右されますので、あくまで参考として下さい※
なお最近の船舶ではGPS魚探やアンカーウインチをはじめ電動リール、集魚ライト、サーチライト、オーディオなど電力を消費する機器が多く搭載される様になってきていますので・・・
次回はこれらを補助する為の「2バッテリー&充電分配システム」や「ソーラーパネル充電」などについて書きたいと思っています。
(デュアルバッテリースイッチとチャージングリレー:次回に書きたいと思います)
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました。