船外機の燃料系トラブル(腐敗編)
こんちには、再びヨコタオート&マリンです。
天気悪いのですが工場で急ぎの塗装仕事してまして・・・しかし案の定乾きません。
塗料の乾燥と、塗料の匂いからの自己回復待ちの間にブログ書いてます(笑)。
前回は燃料に異物(錆粉)が入ったトラブルの紹介をしましたが、続けて燃料の腐敗のことを書きたいと思います。前の記事と順番に読んで頂けると分かりやすいと思います。
オーナーさんは他にディーゼル船もあり、この船外機がついた船は半年ほど使っていなかったそうで久しぶりにエンジンかけようしたところ始動出来なかったそうです。
お持ち込みして頂きました。
テスト水槽に据え付けて確認をしようとトップカウルをあけたところ・・
強烈な異臭がしました。ガソリンが腐敗した匂いです。
これでほぼ原因は分かったのですが、一応エンジンオイル、プラグ、その他全体的に点検を行いエンジンを始動させてみました。スロットル閉状態では始動できませんが、ややスロットルを開けると始動しようと不規則な爆発はしますが安定せず。
まあキャブレターですね。
本体から取り外して分解しながら各部の点検を実施
フロートチャンバー(燃料が溜まるカップ)内の残った燃料ですが、やや変色して粘度が高いトロリとした感じです。正常なガソリンではありません。
順番に分解、洗浄剤で清掃してからエアブローを行いました。
これエンジンが低速(アイドリング)時に燃料を供給するジェット(燃料管)です。
私の指は標準的な大人のサイズなんで部品が特別小さい訳ではありません。燃料の経路とても狭いんです。
恐らく今回はフロートチャンバー内のガソリンが腐って粘度が高くなり上手く流れなかったのかと思います。
一応、サイズを合わせた専用工具でジェットの清掃をしています。この部品は真鍮製で傷みやすくサイズの合わない針金などでむやみに清掃しようとすると傷んでしまい余計に調子悪くなりますので専門の知識の有る方以外は触らないほうが良いです。
他、燃料タンク内やホース&経路内も点検と清掃をしましたが問題はありませんでした。
よって原因としてはキャブレター内に残った燃料はわずかで容量も少ないので夏の暑い期間など未使用で長期放置された結果、劣化(腐敗)した可能性があります。
キャブレターOH清掃後に組み付けた船外機は・・・
問題なく始動して運転できるようになりました。
さて、また長くなりましたが注意点をまとめますと・・・
・古いガソリンは使用しない
・長期に渡り使用予定が無かったり、オフシーズンになり残ったガソリンは他で流用してしまう
・キャブレター内の残ったガソリンは抜く(残念ながら全てのモデルが可能ではありません)
ちなみに今回の「ヤマハF20B」ですが、冬は陸上に上架して使用されない様なのでキャブレター内のガソリンは排出しました。
この様にキャブレターの位置が良くフロートチャンバーのドレンスクリューがアプローチしやすい場所にある場合には、下にウエスなどをひいて溢れるガソリンを受けれるようにしてからネジを緩めてガソリンを排出する事が可能です。
なお、海上に係留している船舶ならオフシーズンで使用しない時期でも、月に1、2回船外機を降ろしてエンジンを始動してアイドリングで10分程度暖機運転するだけでも燃料が循環しますので今回のようなケースの発生を軽減できます。
またこの暖機運転をすればエンジンオイルも循環してシリンダー内部に油膜をはりますのでエンジン的にも良い事と言えます。
以上、最後まで読んで頂きありがとうございました。
みなさまのボートライフの参考になれば幸いです。