GARMIN(ガーミン)の振動子について(1)
ヨコタオート&マリンです。
久しぶりのブログ更新ですが、今回はGARMIN(ガーミン)の振動子について書こうと思います(長くなるので2回か3回に分けて書くつもりです)。
さて当店にてGARMINマリン製品を取扱いだして3年が経過し、年々ここ隠岐の島でもユーザー様の口コミ、雑誌やYou Tube等の情報から興味を持たれる方も多くなってきており既存の顧客様は勿論ですが新規の方からも多数問い合わせを頂いております。
多くの方がある程度の予備知識を持たれたり知人に聞いたりして来られますが、機種(モデル)選び以上によく質問を受けるのがどの振動子を選べば良いかということです。
なぜなら国産メーカー品では業務仕様でない主にレジャー仕様向け魚探の場合、多くは出力ごと(例:600W仕様、1kW仕様)に価格設定されており振動子はその出力に応じたものが本体に同梱され販売されているケースが大半ですので振動子を選ぶという事はあまりありません。
一方、GARMINの場合は一部のモデルを除くと基本的には本体と振動子が別売りになっておりその種類も多い為に迷われる要因となっています。
また国内メーカーのモデルでも例外として高出力の業務用モデルなどでは振動子が別売のケースがありますがこれは振動子ごとに特徴が異なったり、船体への取付方法が異なる為ですが・・・
GARMINでも同じ理由で様々な用途、取付ける場所や方法、必要な情報などに応じる為に1万円台~数十万円の振動子が多数ラインナップされています。 ちなみにGARMINの英語版ホームページを見るとその振動子ラインナップは100種を超えており、うち日本国内へ輸入され通常販売される振動子でも約50種あります。 この様に書きますと、多すぎてますますどの振動子を選べばよいのか分からなくなりそうですが・・・・・ 実際には 1.予算 振動子の価格(多機能なほど高価です) 2.スタイル(取付け場所と方法) 船体の取付場所に応じた形状(主にトランサムマウント、インナーハルマウント、スルハルマウント)により振動子も変わります 3.必要な魚探機能(画像情報) 機器モデルの性能にも依存しますが2D/クリアビュー/サイドビュー/Panoptixの内、どの画像まで使いたいのかで振動子が変わります 4.出力と周波数 使用する水深に応じた出力と、使用できる周波数帯で振動子が変わります これら1〜4を整理することで、かなりの絞り込みが可能です。 つきましては比較的沿岸での釣りを目的としたフィッシングボート、和船向けに当店にて取付事例の多い振動子をピックアップしながら幾つか紹介してみたいと思います。 ※記事内の価格、スペック等は2020年11月現在のものです※ 1. GARMIN 2周波77/200kHz振動子(8ピン) 1.価格:¥15,000(税込16,500) 2.取付:トランサムまたはインナーハル(貼付け) 3.画像:2D(従来型の画像) 4.出力&周波数:500W・77/200kHz(指向角45/15°) 5.備考:ケーブル長=約9m、水温センサー内蔵 国産機と同程度の低価格が魅力的な2周波振動子です。 ※USBメモリーはサイズの比較用です 基本的にトランサムマウント形状ですが、底面がフラットですのでシリコンボンドなどで貼り付けを行うと和船などではインナーハルとしても使用可能です。 こちらの振動子は500W出力の2周波タイプで77と200kHzの周波数が使用できる2D画像専用ですから、国産メーカーで多く流通する600W出力、2周波(50/200kHz)振動子と同程度のものです。 とりあえずGPSMAP585plusなどの安価なモデルと組合せ基本的なGPSチャートプロッター魚探としてGARMINを使ってみたいというご要望や、「クイックドロー」によるオリジナルの海底等深線図を作りたいなどの用途に向けた振動子としては最適だと思います。 (以下、クイックドローについてまとめた過去記事です) 2. GARMIN GT15M-IH ミドルCHIRP(85-165kHz)インナーハル振動子(8ピン) 1.価格:¥40,000(税込44,000) 2.取付:インナーハル・20/12/5/0°傾斜付きケース付属(不凍液封入して使用) 3.画像:2D(従来型の画像) 4.出力&周波数:600W・85~165kHz可変周波数連続発射(指向角24~13°) 5.備考:ケーブル長=約6m、水温センサーなし 船内船底に設置するインナーハルタイプの振動子で、設置事例も多いです。 <以下、設置事例=インボード小型漁船> この事例では上架せず海上係留している状態で設置していますが、航行中の泡かみを軽減したいのでなるべくスカッパーや給水バルブ等の突起物付近は避けつつ振動子の最適な設置位置を確認していきます(写真は振動子を本体につなぎ水袋にいれ画像チェックしながら場所を決めているところです) 取付け位置が決まったら、4種類の角度付きケースが付属していますので 振動子がほぼ水平にセットできるケースを選択します。 ケースも選択したら船底の貼付け面を整えて凹凸をなくし シリコンボンドなどでケースを貼付け、シリコンが乾燥したら不凍液を入れて 最後に振動子を付属のボルトで固定すると取付けは完了です。 この振動子はトランサムマウントやスルハルマウントと比較して設置が容易であり振動子もコンパクトなので省スペースで済むメリットがあります。 (上架して船底形状や構造物をチェックするのがベストですが、事例のように上架せず設置する事も可能ではあります=諸条件にもよりますが) 同梱で4種類の角度付きケースが付属しているので、ケース自体の加工が不要である点が大きいですね(国産メーカーのインナーハルケースは任意で船底に合わせた角度設定が必要でケースの切削等の調整作業があり時間を要します)。 この「GT15M-IH」振動子で得られる画像情報は従来型の2D画像のみとなりますが、こちらはチャープ仕様の振動子になりますので超音波は圧縮されて発射されており貫通力も高くインナーハル設置でも一般的なパルス発信の600Wクラスの魚探よりもより深い水深で使用できます。 解説しますと船底の(FRP)厚みにもよりますがインナーハルで振動子を設置しますと超音波が船底を貫通する際に減衰が生じて出力のパワーロスとなりますので、一般的なパルス発信の魚探でレジャー向けに一般的な600W仕様ですと使用できる目安の水深は80~100m前後と説明させて頂いていますが、GARMINにチャープ振動子を組合せた場合に同等の500~600Wの出力でも概ね150~200m前後は使用できるかと思います。 ※近場で200m以上の水深エリアがなく当方の実測では200m以深を試せておりません ※水深などの数値は船底のFRP厚みや設置場所などの条件で異なります ※超音波を圧縮と言われてもピンときませんが、イメージ的には雪合戦のときに雪を強く固めると遠くまで投げやすい! そんな感じかと思います また周波数帯も85~165kHzの可変連続発射となりますので情報量も多くなっています。 これも解説しますと、発信できる周波数帯をイラストのようにピアノの鍵盤に置き換えた場合に・・・ 一般的な50/200kHzの2周波振動子ですとイラスト内の両端(黄色)の鍵盤のみを充てがわれた事になりますが、パルス発信ですとこれを交互に断続的に使用している状態です。充てがわれた音階は2音階しかないので表現力は低いと言えます。 対して(ミドル)チャープの場合は85~165kHzの周波数帯を可変させながら連続で使用できる仕様となります。イラストでみますと水色の部分の鍵盤が充てがわれていますが、これを連続して使用できるので音階も多く比例して表現力も高くなります。 <参考:魚群探知機の仕組みについて基本的な説明がされた動画です> 魚群探知機とは超音波を発信して海底や魚群に反射して返ってきたエコーの強弱や時間をCPUが演算して画像処理化するものですから広域周波数の超音波を発射して得られる情報量が多いほど画像としての表現も詳細となります。 ※超音波特性というものがあり、対象物により反射(=エコーが出やすい)しやすい周波数帯が異なります。広域の周波数を出すことで低周波が良いものから高周波が良いものまで広くカバー出来るので様々な情報を得ることが可能になります。 また周波数帯は「CHIRP(自動)」に設定するか、ターゲットに応じて任意の周波数を選んで選択する事も可能です。 ※最初に納品させて頂く時は各種説明をさせて頂いてから、ビーム=CHIRP(自動)、感度=自動(中)にする場合が多いです。 この画像は6インチモニター(480×800ピクセル)の「GPSMAP 585 Plus」のものです。 小さいモニターのモデルでもチャープ2D魚探画像は解析に優れており画像のように海底付近にいる魚もしっかりと海底と切り離して表示しています。上の画像の様にズーム機能をうまく使えば更に分かりやすくなります。 また「GT15M-IH」は船内設置の振動子なので船外設置タイプよりも例えば流木等の衝突などによる破損のリスクが少なく、取付けエリアや船体形状にもよりますが船体の揺動による影響を受けにくく航行中や流し釣り中などでも比較的安定しており水深ロストも少ない様に思います。 当店ではインボード船舶(シャフト船)やインアウト船舶(スターンドライブ船)で多くの場合こちらの振動子を選択する事が多いですし、小型和船などトランサムに振動子を設置すると波の揺動で船尾が浮いてしまい振動子が海中から出てしまう様な艇体ではこちらの振動子をお薦めする事があります。 < 補 足 > 価格の安い「GT8HW-IH ¥25,000(税別)」というインナーハル振動子もありますが、こちらは出力=250W、周波数(145~230kHz)となっており主に淡水(浅場)向けの振動子ですので海での使用にはあまりお薦めしておりません。 長くなるので今回はここまでとします。 続きの振動子紹介は次回更新までお待ち下さい。 最後まで読んで頂きありがとうございました。 (参考:チャープ魚探の説明をした字幕入り動画です)
補足:振動子の端子種類について
◎2D/クリアビュー/サイドビュー振動子=12ピン端子(オレンジ)
◎クリアビュー/サイドビュー振動子=12ピン端子(オレンジ)
◎2D-2チャンネル振動子=12ピン端子(オレンジ)
◎2D&クリアビュー振動子=8ピン端子(ブルー)
◎2D振動子=8ピン端子(ブルー)
※ストライカーシリーズなど4ピンモデルもありますがここでは割愛します
補足:振動子と本体(MFD)の組合せについて
◎12ピン端子(オレンジ)のみを備えた本体(例:ECHOMAP ULTRA)に8ピン端子(ブルー)振動子を使用する場合は「12ピンー8ピン変換ケーブル(¥3,300)」が必要です
◎サイドビューを備えた振動子はサイドビュー機能を備えた本体(MFD)で使用するか、別途ソナーボックスが必要になります
◎GT54UHD-TMなど超高詳細タイプ振動子は「GPSMAP8400xsvシリーズ」「GPSMAP 723/923/1223xsv」「ECHOMAP ULTRA/UHD」などの対応したモデルのみ使用可能です
補足:本体(MFD)出力と振動子出力について
例1:本体GPSMAP 7410xsv=CHIRP(1+1)kW出力
振動子GT15M-IH=CHIRP600W出力
この組合せでは600W出力になります
例2:本体GPSMAP 7410xsv=CHIRP(1+1)kW出力
振動子AirmarB265LH=HI CHIRP1kW+LO CHIRP1kW出力
この組合せでは1kW出力(2ch)になります
例3:本体ECHOMAP92UHD=500W出力
振動子GT15M-IH=CHIRP600W出力
この組合せでは500W出力になります
この様にシステムとしての出力は、本体または振動子のうち出力の低い方に準じた仕様となります