動かないPTT(パワートリム&チルト)修理のつづき
こんばんは、ヨコタオートです。
ようやく冬らしい感じになってきましたね。週末はまた暴風雪の天気マークになっていて嫌な感じです。
なぜかこんな季節にFRP補修の仕事が数件重なっているのですが気温が低く樹脂の乾きが遅いのでなんとも困っておりますが・・・
そんなFRP樹脂の乾燥を待つ間にも色々と他にも仕事がありまして手を止める事はない状態なのが、何ともありがたい限りです。
そのうちの一つで前々回ぐらいに記事にアップしていました、PTT(パワートリム&チルト)の修理も継続中です。
工場に船外機を持ち帰り
PTT(パワートリム&チルト)ユニットを取り外しました。
見事な錆っぷりです!!
モーター部を分解したところ、錆が内部にも侵攻しており接着剤を剥離させ磁石が脱落した状態でした。
内部はこんな感じになります。だいたい典型的なパターンです。
ブラシホルダー側は、カーボンの粉と錆の粉が堆積しておりカーボンブラシが固着した状態でした。奥に見えるのは駆動シャフトを抜いたので溢れてきた作動油で今回は海水の浸水はありませんでした。
まあ、どちらにしてもこの状態ですとモーターは駆動しませんので油圧も発生致しません。
確認の為にポンプ付近を清掃して作動油を補充し擬似的に電動ドライバーを使い油圧ポンプを回すとシリンダーは上下動しましたので、油圧システムは大丈夫な様子でした(正常な油圧が発生するかは計測出来ませんが恐らく大丈夫かと思われます)。
と言うことで、今回のような修理ですとブラシホルダーもNGなので、モーターASSYでの交換修理対応となります。
まあまあ部品代が高額なのと、今回は他にも修理が必要な箇所が見つかり継続して修理をするかは今後お客様との相談となります。
その他の不具合箇所の状態にもよりますが、概ね製造後10年以内なら修理を薦めたいところですが今回のように製造後15年とか20年とかになりますと・・・・
例えば今回の修理代金を頭金にして新しい船外機に換装された方が結果としてお客様にプラスになる事が多いので慎重にならざるおえません。
ちなみに今回の箇所ですが、早期に錆を発見できていたならば・・・・
(参考までに異なる船外機の補修の模様ですが)
こんな感じで少し錆が発生したぐらいならば放置せずに
なるべく丁寧に錆をとります。 古い塗料も剥がしてOKです。
マスキングテープで養生します。モーター部分は鉄ですがその他はアルミ製の場合が多いです。塗る塗料によってはアルミを電蝕させる場合があるのでしっかり養生します。
塗装面を清掃&脱脂してから下地塗料を塗ります。塗料については錆を進行させたくないので・・・
綺麗に錆が取れて鉄の素地が出た場合にはローバルなどの常温亜鉛メッキ塗料を、錆が取りきれずに残った場合などはサビキラーなどの錆転換剤を塗って赤錆を黒錆に転換させて錆の増殖を抑えます。どちらも上塗りが出来るタイプである必要があります。
次に下地が乾燥したら上塗りをします。
なるべく塗膜を厚くしたいので粘度の高い塗料が望ましいです。
これは車用の下塗り塗料が今のところは良いように思います(赤い缶のが好きです)。
最後に全体に耐水性のグリスを塗布します。水に溶けないので流れず表面に残りますし、そのグリスが水をはじくのでモーターの表面に海水が付着しにくくなります。
ちなみにこの耐水グリスを塗るだけでも全然違いますので、気がついたオーナーの方はやられてみても良いかと思います(海に落ちないように気をつけて)。
以上すっかり長くなってしまいましたが要約しますと多少費用はかかりますが、どんな些細な事でも早期発見して対応した方が結果的に後の大きな出費にならずに済みますよとお伝えしたかったんです。
普段なかなか気がつきにくいですが、興味がある方は今一度自分の船外機を点検してみるきっかけになれば幸いです。