船外機のオイル交換(実作業)
こんばんは、ヨコタオートです。
前回4ストローク船外機のエンジンオイルについて書きましたが、タイミングよく本日オイル交換の作業がありましたので簡単に紹介してみます。
作業を行ったモデルは「ホンダBF75A2」。
平成15年5月製でもうすぐ満13歳、運転時間は3000時間を超えています。
船外機としては・・・まあ大ベテランの域と言えますが、現状は特に不具合や故障はありません。
このお客様は毎年春先に定期点検&メンテナンスを欠かさず依頼頂いています。その際に傷んだ箇所や悪くなりそうな箇所を早めに発見でき小まめにメンテナンスをしているので大きな故障は今のところありません。
(部品の消耗などによる交換や修理は勿論あります)
さて本題に戻りまして・・・・・
各部の目視及び指針点検を済ませてからオイル交換にかかります。
(その他にも色々と作業してますが今回はオイル交換にしぼって紹介します)
まずエンジンオイルを排出する前にオイルレベルゲージにて油量を確認します。私の場合は上限と下限(網掛けになっているエリア)の中央付近になるように充填しているので、前回よりややオイルが減っている事が分かりますが・・・・・・
この船外機の年式、総運転時間、前回オイル交換からの経過時間などを考慮するとまあ妥当な範囲内の減り方かと診断できます(毎年整備しているエンジンなので判断出来ますが、初めてご依頼頂くエンジンや、中古品の場合には過去の整備履歴がないので判断しかねる事もあります)。
と、ここまで問題がないので次にオイルを排出します。
今回は船体が上架してありますので、オイルパンのドレンボルトを外して下から排出しています。
この時オイルに異物が混じっていないか?(キラキラと鉄粉が流れてないか)
水が混入していないか?(オイルと水が混ざると白濁します)
などを観察します。今回は異常ありませんでした。
ちなみに船が海上係留の状態では、このようなポンプでオイルを上部より抜き取ります。オイルパンの形状その他にもよりますが、ほぼ下抜きと大差ないぐらいのオイルを抜き取れますので係留中でもご依頼頂ければエンジンオイルの交換は可能です。
オイルが排出出来たら、ドレンプラグを取付けますがその際にはワッシャーガスケットは必ず交換します。仮に再使用したワッシャーが変形していたり傷があればオイル漏れに繋がるかもしれません。¥100~¥200ぐらいの部品代でエンジンを壊したり、海を汚すのはバカバカしいですからね。
次に今回はオイルフィルターも交換時期でしたので合わせて交換しています。
ちなみに船外機のオイルフィルターはこの様に横向きにセットされている物が多いです。これがなかなか整備士泣かせで、そのまま緩めるとカップ状の内部に残留していたオイルが隙間から流れだしエンジンのボトムカウル内に流失します。下手するとオイル交換よりもこぼれたオイルの掃除に時間がかかるなんて事もあるぐらいです。
特にこのモデルの様にオイルフィルターが横向きセットで、その位置がエンジン前方にある場合はエンジン停止後にチルトアップされるのでオイルが下がらずオイルフィルターのカップ状の部分にそのまま残留している事が多いです。
(オイルフィルターが横向きセットでも、その位置がエンジン側面にある場合にはオイルフィルターからオイルが下がる方向に舵をきってからチルトアップしておけば時間の経過でオイルがカップ状の部分から流れ出て下がり易いです)
そこで私なりに色々と思案して現状で一番良い手段は・・・
この様に下にトレイを置き、オイルフィルターの上面にポンチで穴を空ける方法です。
数カ所空けて空気が入る方が抜けが早いです。
(ちなみに万が一ですが切子が入る可能性があるので穴あけにドリルの使用はNGかと思います)
これで大半のオイルが抜けたら付近にウエスをしいてオイルフィルターを緩めます。これでも内部のオイルは完全には抜け切れないのでウエスは必須です。
そして新しいオイルフィルターに交換したら規定トルクで締め付けを行い、上面には私の場合は次回のために交換日を記入しておきます。
フィルターを交換したら新しいエンジンオイルを規定量充填します。今回はオイルフィルターを交換している分多めになります。このあたりは取説などにも記載されています。
但しエンジンのオイルパンの形状、その時の船外機の角度、オイルの抜き方などで内部の全てのオイルが抜き切れてない事が多いので単純に規定量を全部一度に入れてしまうと・・・・・
実は多すぎる事もありますので、最後の方は油量のチェックを並行して数回行いながら微調整して充填しく事が必要です。
オイルを充填したら・・・・
本来はエンジンを始動してオイルを循環させ、停止後に時間を置いてから油量をチェックします。
が、今回は諸般の事情でエンジン始動が出来なかったので、オイルフィルターの分を勘で多めに入れて調整しました。
後日、船が海上に下架されてエンジンが始動できる様になっていれば確認をしておきたいと思います。
以上、簡単に船外機のエンジンオイル交換を紹介させて頂きました。
なんだ簡単だなと思われた方もおられる?かもしれませんが、それなりの知識&経験と工具などは必要ですから基本的にはショップや整備士経験のある方にお任せするのがよろしいかと思います。作業自体は単純ですが、そこからエンジンの状態を把握したり色々な診断が必要になるケースもしばしばありますので・・・・・
最後まで読んで頂きましてありがとうございました。